創作きものにしお,きもの自在

<BODY bgcolor="#e1edee"> <CENTER> <TABLE border="0" width="700"> <TBODY> <TR> <TD><A name="ootue"><IMG src="b.jpg" width="19" height="28" border="0"></A><SUP><B><FONT color="#000000" size="4" face="ＭＳＰ明朝">「大津絵」</FONT></B></SUP></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> </CENTER> <CENTER> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD valign="top" align="left" width="385"> <P class="MsoNormal"><FONT size="2" face="ＭＳＰ明朝"><SPAN style='font-family : "ＭＳＰ明朝","serif";line-height : 5mm;'>　大津絵は江戸時代、人々の往来でにぎわった東海道の宿場町大津で生れました。廣重の東海道五拾三次・大津にも大津絵「鬼の念仏」を掲げたお店が登場します。大津の名物として売られていました。</SPAN></FONT><BR> 　<FONT size="2" face="ＭＳＰ明朝"><SPAN style='font-family : "ＭＳＰ明朝","serif";line-height : 5mm;'>大津絵は無名の画工によって描かれたもの、お土産品として大量に作られ、安く売られていました。初期には、仏画が盛んに描かれ、庶民が我が家の持仏とし、信仰の対象にもされていたようです。やがて世俗的な題材が数多く描かれます。鬼や藤娘・若衆・鍾馗・弁慶・瓢箪鯰などです。いずれも機知にとんだもので、護符としての意味合いも込められ、幕末まで売られていました。同じモチーフを繰り返し量産するため表現は簡略化し、筆使いも自由闊達に活々としたものになります。客の注文に応じ画工が、目の前で描いて見せたともいわれます。</SPAN></FONT></P> </TD> <TD valign="top" align="left" width="280"><IMG src="ootue.jpg" width="279" height="177" border="0"></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD valign="top" width="358"><IMG src="ootue1.jpg" width="118" height="325" border="0"> <IMG src="ootue2.jpg" width="115" height="325" border="0"> <IMG src="ootue4.jpg" width="108" height="325" border="0"></TD> <TD valign="top" align="left" width="307"><FONT size="2" face="ＭＳＰ明朝"><SPAN style='font-family : "ＭＳＰ明朝","serif";line-height : 5mm;'></SPAN></FONT><FONT size="2" face="ＭＳＰ明朝"><SPAN style='font-family : "ＭＳＰ明朝","serif";line-height : 5mm;'>　大量に描かれ、全国に流布されたものだけに、現在でもたくさん残っていても良さそうですが、あくまでも美術品でなく、実用品として庶民が家で楽しんだもの。古くなったら捨ててしまわれたのでしょう、現存するものはそう多くありません。<BR> 　東京駒場の日本民芸館では江戸時代の大津絵を数多く所蔵しています。初代館長の柳宗悦は無名の画工によって描かれ、民衆的であることから、これを民画と呼び、大津絵を「最も優れた典型的な民画」と称賛しています。軽妙で力強い筆跡、泥絵の具によるシンプルな色使い、自由で大らかな表現は、数少ない日本の民画の中でも特別な魅力を持ったものです。</SPAN></FONT> <BR> 　<FONT size="2" face="ＭＳＰ明朝" style="line-height : 5mm;">にしおでは、かねてより大津絵をモチーフに8寸のすくいの帯に写してきました。奔放な筆致を織りで写し取るのは、なかなか難しい作業です。活気にあふれる無名の画工の軽妙な図柄ををどこまで表現出来たでしょうか。</FONT></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> </CENTER> <P><BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> </P> <CENTER> <TABLE border="0" width="700"> <TBODY> <TR> <TD><A name="akagizaguriseisi"><IMG src="b.jpg" width="19" height="28" border="0"></A><SUP><B><FONT color="#000000" size="4" face="ＭＳＰ明朝">「赤城座繰り製糸　－石田明雄工房－」</FONT></B></SUP></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD align="left" valign="top" width="506"> <P class="MsoNormal"><FONT color="#000000" size="2" face="ＭＳＰ明朝"><SPAN style='font-family : "ＭＳＰ明朝","serif";line-height : 5mm;'>　赤城座繰り糸は、赤城山麓で上州座繰り器によって挽かれる糸の事です。かつてはこの一帯に数千人の挽手がいたといいます。しかし現在では、片手で数える程、ずっと以前から懸念していた事が、現実となってしまいました。それでもこの製糸方法はこの赤城に唯一残されたものである事に違いはありません。</SPAN><BR> 　<SPAN style='font-family : "ＭＳＰ明朝","serif";line-height : 5mm;'>江戸時代中期から続くこの製糸が奇跡的に残ったのは、この地域は養蚕が盛んであった事、全国にはさまざまな種類の座繰り器があった中で、上州座繰り器は機能的で良く出来た器械であった事、そして、ここには座繰り糸を専門に扱う、繭糸商がいたことが挙げられます。繭糸商の仕事は、おばあちゃんたちに繭を預け、糸にしてもらい、加工賃を支払い、その生糸を産地や作家に卸をするものです。近年まで数十名の糸商がいたそうです。しかしこれも現在では、石田</SPAN></FONT></P> </TD> <TD valign="top" align="center" width="159"><IMG src="akagizaguriseisi1.jpg" width="157" height="157" border="0"><FONT color="#000000" size="1" face="ＭＳＰ明朝">石田明雄さん</FONT></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD align="left" valign="top"><IMG src="akagizaguriseisi2.jpg" width="309" height="157" border="0" align="top"></TD> <TD align="left" valign="top"><FONT color="#000000" size="2" face="ＭＳＰ明朝"><SPAN style='font-family : "ＭＳＰ明朝","serif";line-height : 5mm;'>明雄さんただ一人となってしまいました。石田さんはおばあちゃんたちに糸を引いてもらうことに加え、１０年前に富士見村に工房を構え、若い紡ぎ手を養成してきました。十年以上のキャリアの女性もいます。彼女たちはもう立派な「糸挽き」。芝崎重一さんや柳崇さんの糸も彼女達の手によって紡ぎ出されます。<BR> 　かつてはくず繭で引いて、赤城の節糸・ぼろ糸・黒糸と揶揄された座繰りの糸ですが、空気を含み、弾力があり軽いこの糸は、今、染織作家を中心に高い評価を得ています。そんな評価に応えるべ</SPAN></FONT></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD valign="top" width="465"><FONT color="#000000" size="2" face="ＭＳＰ明朝"><SPAN style='font-family : "ＭＳＰ明朝","serif";line-height : 5mm;'>く、彼女達は石田さんの指導の下、より良い糸作りのための研究を怠りません。しかし彼女達を支えるのは、何よりも糸挽きが楽しいからといいます。以前お訪ねした座繰りのおばあちゃんも「根気仕事だけども、楽しいんだいね」と言っていたことを思い出します。<BR> 　細々と引き継がれてきた座繰り製糸の伝統の技は、細い糸かもしれませんが、彼女達によって確実に繋がれた思いがいたします。</SPAN></FONT></TD> <TD width="200" valign="top" align="left"><IMG src="akagizaguriseisi3.jpg" width="197" height="162" border="0"></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> </CENTER> <P><BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> </P> <CENTER> <TABLE border="0" width="700"> <TBODY> <TR> <TD><A name="mushinone"><IMG src="b.jpg" width="19" height="28" border="0"></A><SUP><B><FONT color="#000000" size="4" face="ＭＳＰ明朝"> 「虫の音・虫の行列」</FONT></B></SUP> </TD> </TR> </TBODY> </TABLE> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD valign="top" width="273" align="left"><FONT color="#000000" size="2" face="ＭＳＰ明朝"><B><SPAN style="line-height : 5mm;">　　あれ松虫が鳴いている</SPAN><BR> <SPAN style="line-height : 5mm;">　　ちんちろちんちろ　ちんちろりん</SPAN><BR> <SPAN style="line-height : 5mm;">　　あれ鈴虫も鳴きだした</SPAN><BR> <SPAN style="line-height : 5mm;">　　りんりんりんりん　りいんりん</SPAN><BR> 　　<SPAN style="line-height : 5mm;">秋の夜長を鳴き通す</SPAN><BR> <SPAN style="line-height : 5mm;">　　ああおもしろい　虫のこえ</SPAN></B><I><B><SPAN style="line-height : 5mm;"></SPAN><BR> <BR> <SPAN style="line-height : 5mm;"></SPAN></B></I><B><SPAN style="line-height : 5mm;">　　きりきりきりきりきりぎりす</SPAN><BR> <SPAN style="line-height : 5mm;">　　がちゃがちゃがちゃがちゃくつわ虫</SPAN><BR> <SPAN style="line-height : 5mm;">　　ちょんちょんちょんちょんすいっちょん</SPAN><BR> <SPAN style="line-height : 5mm;">　　秋の夜長を鳴き通す</SPAN><BR> <SPAN style="line-height : 5mm;">　　ああおもしろい　虫のこえ</SPAN></B><BR> </FONT></TD> <TD valign="middle" width="392"><IMG src="musinogyoretu.jpg" width="390" height="217" border="0"></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD><FONT color="#000000" size="2" face="ＭＳＰ明朝"><SPAN style="line-height : 5mm;">　ご存じの童謡「虫のこえ」です。</SPAN><BR> <SPAN style="line-height : 5mm;">千草にすだく虫の音は、私たちに秋の訪れを知らせてくれます。日本人は万葉の昔から、虫のこえに心を寄せてきました。和歌や俳句にも数多く登場します。しかし虫の音を愛でるのは、日本人ならではのもののようです。以前読んだものに、私たちは虫の声を心地よいものととらえるのに対して、西洋人はこれが、機械音や雑音としか聞こえない、とありました。日本人は、左脳（言語脳）で虫の音を聞く、西洋人は右脳でとらえるからとのことです。</SPAN><BR> <SPAN style="line-height : 5mm;"></SPAN></FONT></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD width="168" valign="top" align="left"><IMG src="musinogyoretu2.jpg" width="168" height="197" border="0"></TD> <TD width="497" valign="top" align="left"><FONT color="#000000" size="2" face="ＭＳＰ明朝"><SPAN style="line-height : 5mm;">　明治時代に来日したラフカディオ・ハーン（小泉八雲）は、虫の音を愛する日本人に驚嘆したといいます。又、虫売りという商売がある日本の虫文化を称賛し、「虫の音楽家」という文章を残しています。<BR> 　ここにある「虫の行列図」にも、虫を愛する日本人ならではの感性が働いています。草むらで虫たちが声を競い、やわら行列をなし、合唱を始めたかのような図です。この模様は、幕末から明治にかけて大流行したものとのことです。何故このような図が流行したのかも、興味深いところです。季節を先取りした、夏の着物や帯に、羽裏にと数多く取り入られてきました。虫たちが、秋草を手に、野菜を担ぎ、楽しそうに行進をします。</SPAN><BR> 　<SPAN style="line-height : 5mm;">秋の風情を先取りした日本ならではの図柄です。</SPAN></FONT></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> </CENTER> <P><BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> </P> <CENTER> <TABLE border="0" width="700"> <TBODY> <TR> <TD><A name="touzann"><IMG src="b.jpg" width="19" height="28" border="0"></A><SUP><B><FONT color="#000000" size="4" face="ＭＳＰ明朝"> 「唐　桟　－齊藤裕司－」</FONT></B></SUP></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> </CENTER> <CENTER> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD width="277"><IMG src="touzann1.jpg" width="276" height="206" border="0"></TD> <TD width="388" valign="top" align="left"><FONT size="2" face="ＭＳＰ明朝" style="line-height : 5mm;">　<SPAN style='font-family:"ＭＳＰ明朝";mso-ascii-font-family: Century;mso-hansi-font-family:Century'>唐桟織りは江戸時代後期にオランダ人によってインドのサントーメから日本にもたらされた木綿織物です。当時、粋な着物として人気を博しました。明治初頭、東京蔵前に設けられた、旧武士の手に職を付させる為の授産所で齊藤家の初代茂助は唐桟織の技術を習得し、館山に移り住みます。その子二代豊吉は、これを継承し、次の頴・光司兄弟に、そして現在四代目裕司にその技が受け継がれています。</SPAN><BR> 　<SPAN style='font-family:"ＭＳＰ明朝";mso-ascii-font-family: Century;mso-hansi-font-family:Century'>齊藤家の唐桟織りは細番手の木綿糸を使い、植物染料で染め、縞を手織りしたものです。しかしその制作過程は、初代茂助が、授産所で身に付けた技そのままのようです。それは、祖父豊吉の時代に民芸運動を提唱した柳宗悦・濱田庄司・バーナードリーチ・河合寛次郎が館山を訪れ、その仕事ぶりを見て高く評価し、これからも同じ方法で、家族だけで</SPAN></FONT></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD width="485" valign="top" align="left"><FONT size="2" face="ＭＳＰ明朝" style="line-height : 5mm;"><SPAN style='font-family:"ＭＳＰ明朝";mso-ascii-font-family: Century;mso-hansi-font-family:Century'>これを守り、伝えるようにとのアドバイスを受けたという事です。その言葉通りに今日まで全ての工程で、昔のままの方法で制作が続けられています。糸の精練は湯でもむ事、染は藍をはじめ山桃の皮・矢車・五倍子などの植物。それらを煎じて舐め、その渋さで染め上がりの色を推し量ります。更にその染液は、兜鉢という鉢に移し手で色をもみ込む様にして染めます。こんな方法で行なう糸染めを、外には知りません。これは、やはり糸に負担をかけないようにとの配慮からでしょう。機は明治の頃フランスから伝えられたという「バッタン」という機。織り上がった反物は、丹念に砧で打って仕上げます。</SPAN></FONT> <BR> <FONT size="2" face="ＭＳＰ明朝" style="line-height : 5mm;"> 　<SPAN style='font-family:"ＭＳＰ明朝";mso-ascii-font-family: Century;mso-hansi-font-family:Century'>事業を拡大しようとすれば、機械化や効率化をしなければなりません。全国各地にかつて</SPAN></FONT></TD> <TD width="180"><IMG src="touzann21.jpg" width="180" height="138" border="0" align="top"></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD width="187" valign="top"><IMG src="touzann3.jpg" width="186" height="138" border="0"></TD> <TD width="478" valign="top" align="left"><FONT size="2" face="ＭＳＰ明朝" style="line-height : 5mm;"><SPAN style='font-family:"ＭＳＰ明朝";mso-ascii-font-family: Century;mso-hansi-font-family:Century'>あった唐桟織りの機屋さんが、効率化を図る中でほとんどが無くなってしまったことを考えると、柳宗悦の「家族だけで取り組みなさい」との言葉は、将来を見据えたものだったのでしょうか。</SPAN></FONT><FONT size="2" face="ＭＳＰ明朝" style="line-height : 5mm;"><SPAN style='font-family:"ＭＳＰ明朝";mso-ascii-font-family: Century;mso-hansi-font-family:Century'><BR> 　明治の代からの技を実直に守る事で館山唐桟は、現在では貴重な存在となり、千葉県の無形文化財にも指定されています。しかしそんな評価以上に、この生地は美しく、着易く、普段のきものとして優れていることは言うまでもありません。</SPAN><BR> 　<SPAN style='font-family:"ＭＳＰ明朝";mso-ascii-font-family: Century;mso-hansi-font-family:Century'>曽祖父から伝えられた齊藤家の手厚い仕事がさらに継承されていくことを見守りたいと思います。</SPAN><BR>  </FONT></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> </CENTER> <P><BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> </P> <CENTER> <TABLE border="0" width="700"> <TBODY> <TR> <TD><A name="zannshi"><IMG src="b.jpg" width="19" height="28" border="0"></A> 　<SUP><B><FONT color="#000000" size="4" face="ＭＳＰ明朝">「残　糸　－芝崎重一－」</FONT></B></SUP>　</TD> </TR> </TBODY> </TABLE> </CENTER> <CENTER> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD valign="top" align="left"> <P class="MsoNormal"><FONT size="2" face="ＭＳＰ明朝"><SPAN style='font-family : "ＭＳＰ明朝";line-height : 5mm;'>　織物は経糸と緯糸からなります。反物を織るには、必ずそれを作るのに必要とする分量よりも多く糸を作ります。無地にしても柄を織り出す絣にしても、もしそれが途中で不足してしまったらどうにもなりません。必要な量よりも多く糸を染め、織りに備えます。ですから１反の反物が出来ると必ず残り糸が出ます。<BR> 　ここ芝崎さんの工房でも引き出しや小枠に巻かれた沢山の残糸があります。これを利用して作品を作らない手はありません。芝崎さんには、以前から残糸を使ったきものや帯を作っていただいてきました。残糸織りは、ある意味では大変難しいものです。限られた糸をいかに組み合せるか、全体を見通し構想しなければ織れません。以前、南西諸島のある織物の産地を訪れた時、足元にある残糸で</SPAN></FONT></P> </TD> <TD valign="top" align="left"><IMG src="zannsi2.jpg" width="238" height="157" border="0"></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> </CENTER> <CENTER> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD valign="top" align="left" width="180"><IMG src="zannsi1.jpg" width="178" height="118" border="0"></TD> <TD valign="top" align="left" width="485"><FONT size="2" face="ＭＳＰ明朝"><SPAN style='font-family : "ＭＳＰ明朝";line-height : 5mm;'></SPAN></FONT> <P class="MsoNormal"><FONT size="2" face="ＭＳＰ明朝"><SPAN style='font-family : "ＭＳＰ明朝";line-height : 5mm;'>作品が出来ないか、</SPAN></FONT><FONT size="2" face="ＭＳＰ明朝"><SPAN style='font-family : "ＭＳＰ明朝";line-height : 5mm;'>と依頼した事がありました。答えは、決まった絣を合わせる仕事は出来るが、考えながら織ることなど無理だとの返事でした。柳宗悦はその著書の中で、「残糸を用いて織られたものに醜いものは無い」と残糸織を賞賛しています。手にまかせ、織りに遊ぶ、糸を生かす織りを命題とする芝崎さんの究極の仕事です。</SPAN></FONT><span lang=EN-US style='mso-fareast-font-family:"ＭＳＰ明朝"'></span></P> </TD> </TR> </TBODY> </TABLE> </CENTER> <P><BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> </P> <DIV align="center"> <TABLE border="0" width="700"> <TBODY> <TR> <TD><IMG src="b.jpg" width="19" height="28" border="0">　<SUP><B><FONT color="#000000" size="4" face="ＭＳＰ明朝">「お相撲さんのきもの」</FONT></B></SUP>　</TD> </TR> </TBODY> </TABLE> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD valign="top" align="left"><IMG src="sumou2.jpg" width="256" height="184" border="0"><FONT size="2" face="ＭＳＰ明朝"><SPAN style='font-family : "ＭＳＰ明朝";line-height : 5mm;'></SPAN></FONT></TD> <TD><FONT size="2" face="ＭＳＰ明朝"><SPAN style='font-family : "ＭＳＰ明朝";line-height : 5mm;'>　採寸の順番を待つ、高田川部屋の若いお相撲さんです。<BR> 　高田川部屋は、金星16という記録を持つ、元関脇安芸の島が、高田川の名跡を継承し、親方として後進を育てる若い部屋です。<BR> 　高田川部屋の全力士のきものの仕立をさせていただきました。普段は写真のように、Ｔシャツにパンツといういでたちですが、場所入りや公式行事は、やはりきものです。<BR> 　厳しい階級社会の相撲界ですが、きものにも厳然たる約束事があるようです。足袋がはけるのは、三段目から、二段目までは冬も素足です。博多の帯は、幕下になってから、羽織を着られるのは関取といわれる十両以上、といったものです。</SPAN></FONT></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD valign="top" align="left"><FONT size="2" face="ＭＳＰ明朝"><SPAN style='font-family : "ＭＳＰ明朝";line-height : 5mm;'>　高田川部屋の最上位力士は幕下、まだ羽織は着られません。幕下以下といっても皆さんさすがの体格。身長190㎝・体重188ｋといった堂々たる体躯、力士というにふさわしい方もいます。<BR> 　もち論、裄など反物の巾（1尺）では到底足りるものではありません。裄は袖で割付といって共布を継ぎ足して作ります。おくみ巾が8寸（女並は4寸）、身巾も反物の一巾分広い位でないと間に合いません。普段、女物の仕立ばかりの私どもの仕立やさんですが、袖を縫っていると、座布団を縫っているかと錯覚してしまう、との感想です。しばらくは、感覚が麻痺してしまったとの事でした。<BR> 　二反の違う柄の反物を使ってきものを一枚、あえて割付や巾出しも異なる柄布で仕立ててみたりしました。出来上がったきものは、お相撲さんに似つかわしい、とてもおしゃれなものとなりました。</SPAN></FONT></TD> <TD valign="top" align="left"><IMG src="sumou1.jpg" width="224" height="186" border="0"></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD width="296"><IMG src="sumou3.jpg" width="394" height="243" border="0"></TD> <TD width="369" valign="top" align="left"><FONT size="2" face="ＭＳＰ明朝"><SPAN style='font-family : "ＭＳＰ明朝";line-height : 5mm;'>　素直で規律正しい、若い彼らが、一日も早く羽織を着られるように、応援したいと思います。<BR> <BR> <BR> 　　高田川部屋ホームページ<BR> 　　<A href="http://www.takadagawa.com/">http://www.takadagawa.com/ <BR> </A><BR> <BR> </SPAN></FONT></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <TABLE border="0" width="700"> <TBODY> <TR> <TD><IMG src="b.jpg" width="19" height="28" border="0">　<SUP><B><FONT color="#000000" size="4" face="ＭＳＰ明朝">「柳崇のしごと」</FONT></B></SUP>　</TD> </TR> </TBODY> </TABLE> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD valign="top" align="left" width="377"><FONT color="#000000" size="2" face="ＭＳＰ明朝" style="line-height : 5mm;">　夏の暑い盛り、柳崇さんは毎年富士見までやって来ます。春繭を上州ざぐり器で引いてもらった糸を受け取りに来るのです。特定のおばあちゃんに特別な方法で糸にしてもらっています。今、彼が考える最上の糸はこうしてこの土地で生れます。<BR> 　そもそも赤城山一体で引かれる座繰り糸を高く評価したのは、彼の父、故柳悦博(やなぎよしひろ)氏でした。悦博氏はあの民芸運動の柳宗悦(やなぎむねよし)の甥に当たる方で、宗悦にまるで子供のように育てられた人です。悦博氏は染織作家として、又指導者として数多くの功績を残されました。彼の作品や活動については、白州正子さんの随筆にも度々紹介されています。</FONT> </TD> <TD width="288"><IMG src="yanagisou-1.jpg" width="287" height="196" border="0"></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> <TABLE border="0" width="675"> <COL span="1" valign="top" align="left"> <TBODY> <TR> <TD width="283"><IMG src="yanagisou-2.jpg" width="283" height="191" border="0"></TD> <TD valign="top" align="left" width="382"> <FONT color="#000000" size="2" face="ＭＳＰ明朝" style="line-height : 5mm;"> 　崇さんは、父君を師として、染織の道を志します。柳一家の同胞の多くが、染織など工芸の道で活躍されている事を考えると当然の事だったのでしょう。父の元に集まった、数多くの弟子達とともに研鑽の日々を重ねます。<BR> 　彼が目指すのは軽やかなで気品があり、当然着心地の良いもの。素材の持ち味を最大限に生かした織物です。その為に、糸は何よりも重要なものとなります。中に空気層が含まれる座繰りの糸は絹本来の弾力性が生かされています。それを損なうことがない様に撚糸や精練といった作業も全てご自身で行ないます。この事によって、植物染料による糸の染め上がりがまったく違うのだそうです。</FONT></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD><FONT color="#000000" size="2" face="ＭＳＰ明朝" style="line-height : 5mm;">全ての工程をおろそかにすることなく生れる彼の布は、絹の輝きと艶を持った美しいもの。織に関してのたぐいまれな感性を継承した崇さんの仕事は、きわめてベーシックでありながら彼ならではの個性を表現しています。</FONT></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <TABLE border="0" width="700"> <TBODY> <TR> <TD><A name="toyodatumugi"><IMG src="b.jpg" width="19" height="28" border="0"></A>　<SUP><B><FONT color="#000000" size="4" face="ＭＳＰ明朝">「豊田紬」</FONT></B></SUP>　</TD> </TR> </TBODY> </TABLE> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD colspan="2" valign="top" align="left"> <P class="MsoNormal"><FONT size="2" face="ＭＳＰ明朝"><SPAN style='font-family : "ＭＳＰ明朝";line-height : 5mm;'>　｢グンボウ｣という織物をご存知でしょうか。沖縄県の八重山地方で作られるもので、「混紡」が訛った言葉のようです。二種類以上の糸素材を交織したものを言い、八重山地方では、経を木綿、緯を苧麻や芭蕉という具合に、グンボウを織ります。とくに着心地が良く、庶民の日常着として、多くは自家用に織られたものでした。<BR>   　茨城県結城市より南、鬼怒川と小貝川にはさまれた結城郡石下でも、古くから交織の織物が、作られてきました。この地方では明治時代に養蚕と共に綿花の栽培も盛んに行なわれ、それを使って綿織物が織られていたようです。石下木綿と呼ばれ、全国に出荷されていました。<SPAN lang="EN-US" style='mso-fareast-font-family:"ＭＳＰ明朝"'></SPAN><BR> </SPAN></FONT></P> </TD> <TD><IMG src="toyoda1.jpg" width="236" height="157" border="0"></TD> </TR> <TR> <TD colspan="3"><FONT size="2" face="ＭＳＰ明朝"><SPAN style='font-family : "ＭＳＰ明朝";line-height : 5mm;'>しかし木綿の着尺は、他の産地との競合も厳しく、独自の商品の開発が急がれました。やがて、経に玉糸や生糸、緯糸に強撚糸をかけた木綿の縮織物を開発します。紬卸商の秋場三松のアイデアによるものでした。</SPAN><SPAN lang="EN-US" style='mso-fareast-font-family:"ＭＳＰ明朝"'></SPAN><BR>  <SPAN style='font-family : "ＭＳＰ明朝";line-height : 5mm;'>　お隣の結城では、手紬糸の平織りや経に紬、緯に手紬糸に強撚糸をかけ織り込んだ、結城縮が全盛期でした。しかし結城縮はとても庶民には高額で手の出ないものでした。当時、これに似た生地風を、木綿で目指したのではないかと推測します。</SPAN><BR> </FONT></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD width="237"><IMG src="toyoda2.jpg" width="236" height="157" border="0"></TD> <TD width="428" valign="top" align="left"><FONT size="2" face="ＭＳＰ明朝"><SPAN style='font-family : "ＭＳＰ明朝";line-height : 5mm;'>　茨城県豊田地方（石下付近）の地名を取って、豊田紬と名付けられたこの着尺は、経糸に生糸又は玉糸、緯糸は八丁撚糸機により右撚りと左撚りに強く撚った木綿糸を交互に織り込んだものです。織り上った後、麻布の上で、手もみ、縮寄せの作業をくり返すと、独特のシボが立ちます。<BR> 　この豊田紬は、絹と木綿の交織ともいえない、さらさらとした風合いと、何度もの洗い張りに耐える丈夫さから、日常着として、大正･昭和と盛んに生産されました。<BR> 　しかし、平成１０年以降は、ほとんど生産されなくなり、豊田紬の名も、市場から消えてしまいました。<BR> </SPAN></FONT></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD><FONT size="2" face="ＭＳＰ明朝">　<SPAN style='font-family : "ＭＳＰ明朝";line-height : 5mm;'>にしおでは、以前手に入ったわずかな反物を、何人かの方に着て頂きました。皆さん、生地がやわらかく、軽くて着やすい、と大好評をいただきました。</SPAN><BR> 　<SPAN style='font-family : "ＭＳＰ明朝";line-height : 5mm;'>こんな良い素材を埋もれたままにしておくことは無いと思い、これを織った機屋さんをお訪ねしました。機屋さんといっても、絣の括りから染、織まで奥様とお二人で手がけています。おじい様の代からこの着尺を織ってきました。ほとんど仕事が無くなってしまった４年前には、この織りをやめ、お勤めを始められたのだそうです。しかし、永年築き上げた家伝の仕事を諦め切れず、仕事に戻られました。</SPAN><BR> 　<SPAN style='font-family : "ＭＳＰ明朝";line-height : 5mm;'>何十年もの間、織られた縞や絣の紬の小裂は、几帳面にファイルされていました。中には今すぐにでも欲しい、と思うような柄もあります。</SPAN><BR> <SPAN style='font-family : "ＭＳＰ明朝";line-height : 5mm;'></SPAN></FONT></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD width="428" valign="top" align="left"><FONT size="2" face="ＭＳＰ明朝"><SPAN style='font-family : "ＭＳＰ明朝";line-height : 5mm;'>　綿も絹も同じ手間なら、絹織物のほうが効率が良い。綿と言うだけで、安物になってしまう、といった間違った認識に基づき、無くなってしまったこの豊田紬。にしおでは、同じ糸使い、同じ撚糸で、この織りを再び作っていただく様お願いいたしました。何よりもその着心地、日常着てもいたまない耐久性、そしてお求めいただき易い価格、普段のおしゃれ着として、これに並ぶものはないと考えているからです。<BR> 　今後、にしおの定番商品として、皆様にご提案させていただく事になります。</SPAN></FONT> </TD> <TD width="237"><IMG src="toyoda3.jpg" width="236" height="157" border="0"></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <TABLE border="0" width="700"> <TBODY> <TR> <TD><A name="momennokimono"><IMG src="b.jpg" width="19" height="28" border="0"></A>　<SUP><B><FONT color="#000000" size="4" face="ＭＳＰ明朝">「木綿のきもの」</FONT></B></SUP>　</TD> </TR> </TBODY> </TABLE> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD colspan="2" valign="top" align="left"><FONT color="#000000" size="2" face="ＭＳＰ明朝" style="line-height : 5mm;">　木綿という言葉には、やさしくあたたかなひびきがあります。<BR> 今、私たちのくらしの中で、なくてはならないものとしてある綿ですが、この繊維が日本に入ってきて、450年程しかたっていないというのも不思議です。柳田国男著『木綿以前の事』に「昔の人が寒暑につけて、天然に対する抵抗力が強かった事は、とうてい今人の想像の及ばぬところであるから、素肌に麻布を着て、厳冬を過ごしたとしても不思議はない。麻衣や藤衣を何枚も重ねて着たであろう。」と書かれています。寒さをしのぐために重ね着をするしかなかった冬。今年の冬は、麻何枚の寒さであったという表現がされていたそうです。肌に冷たい麻や、木の繊維を身にまとっていた人々は、この木綿の出現を、どれほどの喜びを持って迎いいれたことでしょう。<BR> 当然のように、木綿はあっという間に各地に広まりました。人々は、それぞれの土地で綿を栽培し、糸を紡ぎ、綿織物を生んできました。<BR>   　しかし、明治初期まで、全国いたる所で栽培されていた綿ですが、日本の風土が綿作にむいていなかったためでしょうか、急速に消滅していきます。海外から品質の良い物を輸入した方が、得策と考えられ、綿作するよりも紡績糸を買って織物を織る<BR> </FONT></TD> </TR> <TR> <TD valign="top" align="left"><FONT color="#000000" size="2" face="ＭＳＰ明朝" style="line-height : 5mm;">方が安く出来る等がその理由です。<BR> 　日本の衣文化を革命的に変えた、もめんのきものも、その後のウールの出現や生活が豊かになって庶民でも絹織物を着られる様になり、何か安物の代名詞のように扱われ、みるみる衰退していったのでした。しかし、綿のきものは、日本の風土にとても合っています。夏には涼しく、冬は暖かく身を包んでくれる。洗濯にも耐え、日本人好みの藍にもよく染まる、などやはりすぐれた素材なのです。時代と共に消滅しかけた綿のきものですが、いまだ各地にこの素材の特性を生かした、織物をつくり続けている人々が居ます。かたくなに綿栽培から手紡ぎ、手織りにこだわる人、昔から伝わる縞を植物染で織り続ける人など、並々ならぬ気概を持って取り組む人に出会える事はとてもうれしい事です。あえて木綿にこだわりつづける彼らは、私たちの祖先が綿と出合った時のおどろきと感激を、今なお持ちつづけているのではないかとさえ思うほどです。</FONT></TD> <TD bgcolor="#e1edee" align="center"><IMG src="momenn.jpg" width="197" height="209" border="0"><BR> <FONT color="#000000" size="1.5" face="ＭＳＰ明朝">縞帳(自給自足の農家の縞織の記録)</FONT></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <TABLE border="0" width="700"> <TBODY> <TR> <TD><IMG src="b.jpg" width="19" height="28" border="0">　<SUP><B><FONT color="#000000" size="4" face="ＭＳＰ明朝">「塩蔵の繭」</FONT></B></SUP>　</TD> </TR> </TBODY> </TABLE> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD valign="top" align="left" width="346"> <FONT color="#000000" size="2" face="ＭＳＰ明朝" style="line-height : 5mm;">蚕の一生は、一齢から五齢まで、この間4回脱皮して休み(眠)、繭を作ります。繭の中にこもって蛹となり、10日位で羽化し、繭を破り蛾となります。</FONT><BR> <FONT color="#000000" size="2" face="ＭＳＰ明朝" style="line-height : 5mm;">当然、羽化する前に糸にしなければなりません。その為に繭を熱風で乾燥させ、殺蛹(さつよう)をします。こうしておけば、いつでも繰糸することが可能です。ほとんどの繭は、この様に乾繭(かんけん)として保存されます。しかし、高熱処理である為、繭や糸に対して決して良い影響は与えません。本来であれば、生繰りといって、蛹が羽化するまでの内に糸を引いてしまえば良いのですが、当然時間の制約から、その様なわけには行きません。殺蛹は、古代から糸を作る過程で大きな課題であったに違いありません。<BR> 　古代中国の文献に、繭を塩漬けにする方法がありました。もちろん今ではほとんど行なわれていないものです。  塩につけ、蛹を窒息させます。しかも塩蔵した糸は風合いが良く、生糸であっても精練したような柔らかさがあり、更に黄色く変色しにくいとの記述があります。</FONT></TD> <TD width="319"><IMG src="image1.gif" width="321" height="303" border="0"></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD valign="top" align="left" width="300"><FONT color="#000000" size="2" face="ＭＳＰ明朝" style="line-height : 5mm;">　にしおでは、晩秋の良い繭を塩蔵し、碓氷製糸で繰糸してもらう事にしました。ポリタンクに繭を3層に入れ塩を振り、木綿の布をはさみ、それを重ねます。最後に土壁の泥(藤岡の瓦の粘土)で密封します。10日後位から繰糸をします。</FONT>　</TD> <TD valign="top" align="left" width="365"><IMG src="ennzou11.jpg" width="177" height="159" border="0">　<IMG src="ennzou21.jpg" width="177" height="159" border="0"></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <TABLE border="0" width="700"> <TBODY> <TR> <TD><IMG src="b.jpg" width="19" height="28" border="0">　<SUP><B><FONT color="#000000" size="4" face="ＭＳＰ明朝">「天与の恵みを生かす織　―芝崎重一・圭一のしごと ―」</FONT></B></SUP>　</TD> </TR> </TBODY> </TABLE> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD style="line-height : 5mm;"><FONT color="#000000" size="2" face="ＭＳＰ明朝"><SPAN></SPAN><SPAN style='font-family:"ＭＳＰ明朝";mso-ascii-font-family: Century;mso-hansi-font-family:Century'></SPAN></FONT><FONT color="#000000" size="2" face="ＭＳ明朝"><SPAN style='font-family:"ＭＳＰ明朝";mso-ascii-font-family: Century;mso-hansi-font-family:Century'>　</SPAN></FONT><FONT color="#000000" size="2" face="ＭＳＰ明朝"><SPAN style='font-family:"ＭＳＰ明朝";mso-ascii-font-family: Century;mso-hansi-font-family:Century'>芝崎重一さんの着物作りは、全て昔のままの方法で行なわれます。手で引き出された座繰りの糸は、灰汁で精練されます。灰汁も薪を燃やして炊きます。それは、ガスや油では出来ない「止め釜」といい、おき火で１２時間もかけてゆっくりと温度を下げる事が出来るからです。それによって糸は、ふっくらと仕上がります。糸を生かすも殺すも精練次第といわれますが、昔からの方</SPAN></FONT></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD valign="top" align="left" width="507"><FONT color="#000000" size="2" face="ＭＳＰ明朝" style="line-height : 5mm;"><FONT size="2" face="ＭＳＰ明朝"><FONT face="ＭＳ明朝"><FONT size="2" face="ＭＳＰ明朝"><SPAN><FONT color="#000000"><SPAN style='font-family:"ＭＳＰ明朝";mso-ascii-font-family: Century;mso-hansi-font-family:Century'>法に加え、ご自身の経験から生み出した独自の練りは、誰も真似ることが出来ないものです。</SPAN></FONT><BR> 　糸は桜・樫・渋木・矢車をはじめ、身近な木や木の実で、染められます。織はもちろん手織りで。それぞれの工程で、手軽なやり方の何倍も手間のかかる手法を、かたくなに守る作り手を、私は知りません。<BR> </SPAN></FONT></FONT><SPAN style="line-height : 5mm;">　芝崎さんの仕事は、息子圭一さんにそのまま伝えられ、精練や染は彼が手掛けます。「長い年月をかけて行なわれてきた昔の方法が、糸にとって一番いい。」糸を生かすためのこんな信念が、作品に反映されていることは、皆様ご存知の通りです。<BR> 　こんな父・祖父の着物作りとくらしを見る孫の芝崎遥奈さん（小学５年生）が昨年作文の全国コンクール、「こども環境大賞」で大賞、文部科学大臣賞を受賞されたことは、新聞紙上でご存知の方も多いいと思います</SPAN></FONT>。<BR> 　芝崎さんご一家のくらしと、染色に取り組む姿勢がうかがえるすばらしい作品をご紹介します。<BR> </FONT></TD> <TD align="right" width="158"><IMG src="sibasakiharuna1.jpg" width="157" height="237" border="0"></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD> <P class="MsoNormal"><SPAN style='font-family:"ＭＳ明朝";mso-ascii-font-family:Century; mso-hansi-font-family:Century'><B><FONT color="#000000" size="3" face="ＭＳＰゴシック">｢自ぜんのめぐみとわたしの家族｣</FONT></B>　　</SPAN><B><SPAN style='font-family:"ＭＳ明朝";mso-ascii-font-family:Century; mso-hansi-font-family:Century'><FONT color="#000000" size="3" face="ＭＳＰゴシック">芝崎遥奈(はるな)</FONT></SPAN></B><FONT color="#000000" size="2" face="ＭＳＰゴシック" style="line-height : 5mm;"><SPAN style="line-height : 5mm;"><BR> <BR> 　わたしが大切にしたい自ぜんは、この日本に残っている森です。<BR> 　わたしは、家族でよく旅行に行きます。その時、植物のかんさつをしたり、時々木の実を拾ったりします。きれいな花を見たり、見た事がない草を見つけたりすると、わたしはとてもうれしくて植物図かんで、何という名前なのか調べたりします。森へ行くと、色々な虫もいるので、とても楽しいです。でも、森に行くのには、もう一つ理由があります。<BR> 　わたしの家族は、着物を作る仕事をしています。その時に使うクルミやヤシャという木の実を、森で取ったりします。父は、それをにて糸をそめるえきを作ります。にる時に使うかまも、木を切り出した時の木くずをもやして使います。そこで出来たはいも、後で糸をやわらかくするためのはいじるにします。ぬのを作るまで全部手で仕事をするので、大変そうだけれど、自ぜんの材料を使った着物は、やさしくてきれいな色をしています。わたしが、「その着物きれいだね。」と言うと、父は、「そうだよね。」とにっこり笑ってくれました。</SPAN><BR> 　<SPAN>父は、使い終わった木の実やあいなどを庭の畑にまきます。すると、それは土のひりょうになります。そこで、ひいおばあちゃんは野菜を作って、わたし達に食べさせてくれます。自分の家でとれた野菜は、虫が食べていたり、変てこな形をしているのもあるけれどとてもおいしいです。「昔は、みんなこんな生活だったんだよ。」と母が教えてくれました。<BR> 　土は父が使い終わった木の実を、元の土に帰してくれます。すると土は、また新しいめぐみをわたし達にくれます。わたしは、父のような、自ぜんを上手に使う仕事を残したりもっとふやしたりするのが、これからは大切だと思います。木を切りすぎたり、ゴミをたくさん出しすぎたり、自ぜんをむだに使うと地球温だん化などが、どんどん進んでしまいます。すると、今ある森の様子も、もっと暑い国のように変わると聞いた事があります。そうなると、森の生き物達がぜんめつしてしまったりしないかと、わたしはとても心配です。<BR> 　わたしは、日本の自ぜんを大切にしたいです。自ぜんは、たくさんの色をくれます。わたしは、日本の自ぜんがくれる、やさしい色が大好きです。だからわたしも、自ぜんを上手に使えるようになりたいなと思っています。わたしは、しょう来は父のように、自ぜんを大切に出来る仕事をしたいです。<BR> 　わたしが、そう話すと父は、「そうだよね。」と、やっぱり笑って答えてくれました。</SPAN></FONT><BR> </P> </TD> </TR> </TBODY> </TABLE> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> </DIV> <CENTER> <TABLE border="0" width="700"> <TBODY> <TR> <TD><IMG src="b.jpg" width="19" height="28" border="0">　<SUP><B><FONT color="#000000" size="4" face="ＭＳＰ明朝">「雪の華　― はかなく美しい文様 ―」</FONT></B></SUP>　</TD> </TR> </TBODY> </TABLE> </CENTER> <CENTER> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD valign="top" align="left"><SPAN><FONT color="#000000" size="2" face="ＭＳＰ明朝" style="line-height : 5mm;"><BR> 　<B>「春は花夏ホトトギス秋は月冬雪さえて冷やしかりけり」道元禅師</B><BR> <BR> 　花、月と並んで雪は日本の美を象徴するものです。雪の形状や降り方、積もり方によって様々な呼び名があるというのは興味深いところです。<BR> 　平安時代にはすでに雪を「六花（むつのはな）」と呼び、六弁の花にたとえていたという事には不思議な思いがいたします。雪の六方形の結晶を肉眼で識別していという事なのでしょうか。<BR> 　江戸時代後期天保３年、茨城県古河の城主、土井利位（どいとしつら）はオランダ渡りの顕微鏡をのぞき、雪の観察をし「雪華図説」という私家本を著します。日本で始めての雪の結晶の図鑑です。この記録は、江戸時代における自然科学の成果の一つとして、高く評価されています。天保六年に発刊された鈴木牧之の「北越雪譜」にそれが転載され、庶民も雪の結晶の美しさに目を見張ります。やがてこれは図柄として、様々なものに取り入られてゆきます。<BR> </FONT></SPAN></TD> <TD valign="middle" align="center"><IMG src="yukinohana1.jpg" width="152" height="195" border="0" style="line-height : 1cm;" align="top"><BR> <FONT color="#000000" size="1" face="ＭＳＰ明朝">土井家所蔵「雪華模様訪問着」</FONT></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD width="177" valign="top" align="center" height="168"><IMG src="yukinohana2.jpg" width="197" height="159" border="0"><BR> <FONT size="1" face="ＭＳＰ明朝">土井利位「雪華図説」</FONT></TD> <TD valign="top" align="left" width="488" height="168"><SPAN><FONT color="#000000" size="2" face="ＭＳＰ明朝" style="line-height : 5mm;">　こんな科学的な図柄をきものや、調度品、菓子にまで使う好奇心と美意識に感服せざるを得ません。はかなく消え入る雪の結晶は、それだけに美しい文様「雪の華」として、多くの人々の心をとらえたのです。</FONT></SPAN> <BR> <BR> <BR> <BR> </TD> </TR> </TBODY> </TABLE> </CENTER> <CENTER><BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> </CENTER> <CENTER> <TABLE border="0" width="700"> <TBODY> <TR> <TD><IMG src="b.jpg" width="19" height="28" border="0">　<SUP><B><FONT color="#000000" size="4" face="ＭＳＰ明朝">「帯締・帯留」</FONT></B></SUP>　</TD> </TR> </TBODY> </TABLE> </CENTER> <CENTER> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD valign="top" align="left"><FONT size="2" face="ＭＳＰ明朝" style="line-height : 5mm;" color="#000000">「帯締・帯留」何げなく使っている言葉ですが厳密には、帯締は帯を締める、帯の結びがおちないようにするための紐の事。古くは武家の妻女、子女の一文字を文庫・矢の字などの帯結びをとめる丸ぐけの紐。一般に普及したのは明治以降お太鼓結びの垂れを押える型になってからの事です。素材も丸ぐけから刀の下緒の様な組紐に変わっていきました。<BR> 一方帯留は、元々は紐の両はしに付ける留金の事でした。これが洋装のベルトのバックルのように一般に普及し、贅をつくしたものが出廻りました。とくに大正から昭和初期にかけては大流行したようです。素材も象牙・珊瑚・ひすい・金銀の細工・宝石・べっ甲・陶器など、あらゆるものが帯留として工夫されました。これには、刀の目抜きや根付けなどの職人の卓越した技術が生かされ、手間をおしまずつくられたのでしょう。当時、半衿がそのようであった様に、きものや帯の何倍もする高価なものまで存在した様です。当時の帯留を見ると、季節感を生かしたものが多く、中には三六五日の内たった一日しか付けられないものもあったとか。きものの時代のおしゃれにかける心意気を感じます。<BR> 現在では一部宝石のものなど以外、ほとんど新しいものを目にする事もありません。それほどまでに流行したものでありながら、骨董屋さんなどでもほとんど見掛ける事がないのは何故でしょうか。それは戦後洋服のアクセサリーとして欧米に大量に流出したからとか。今では細工職人も少なくなり、作る事も不可能なものが沢山あったはずです。<BR> 帯を飾る帯留は、着姿を仕上げる決め手となるもの、古い物の中にそれを探すこともおしゃれの領域を広げることになるのではないでしょうか。<BR> </FONT></TD> <TD valign="top" align="left"><IMG src="obidome.jpg" width="263" height="394" border="0"></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> </CENTER> <CENTER> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD><FONT size="2" face="ＭＳＰ明朝" style="line-height : 5mm;" color="#000000">にしおでは、東京駒込の骨董屋さんの協力を得て骨董の帯留を展示しています。思わぬ名品と出会えるかもしれません<BR> 私共に来店され、真っ先にこの帯留のコーナーをご覧になるお客様も多くいらっしゃいます。毎月、商品の入れ変えをしていただいているので、たえず新しい物と出会えます。<BR> <BR> 写真上から、サンゴの菖蒲、銀の菊、白サンゴの瓢箪（六瓢）、やきもののかぼちゃとくわい、銀のしじみ、白檀の鈴。<BR> 骨董の帯留にも色々な素材のものがあります。<BR> 銀の菊やしじみの細工は、刀の目抜きなどの細工をした金工の仕事なのかもしれません。細密で高度な職人文化の時代、江戸時代の根付や刀の飾職人が帯留の流行とともに、こんな仕事を手がけのです。<BR> 鈴の帯留などの木彫の仕事は櫛職人をかねていた人もいたようで、素材も黄楊や白檀が多く見られます。白檀は比較的やわらかく彫りやすいのとその香によって好まれました。<BR> 白サンゴの六むびょうは、六つの瓢箪を無病にかけたものです。<BR> 職人達のしゃれっ気と粋な姿勢がうかがえます。ここには、江戸の洗練された美意識が確かに存在するのです。<BR> 　</FONT></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> </CENTER> <CENTER></CENTER> <CENTER><BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> </CENTER> <CENTER> <TABLE border="0" width="700"> <TBODY> <TR> <TD><A name="suzukireiga"><IMG src="b.jpg" width="19" height="28" border="0"></A>　<SUP><B><FONT color="#000000" size="4" face="ＭＳＰ明朝">「野の草花を描く　－鈴木麗雅－」</FONT></B></SUP>　　<FONT size="1.5" face="ＭＳＰ明朝">(第62号より)</FONT></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> </CENTER> <CENTER> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD valign="top" align="left" width="431"><FONT size="2" face="ＭＳＰ明朝"><SPAN style="line-height : 5mm;">30年位前ある友禅作家の作品に引き寄せられました。<BR> 華やかな草花模様ですが、牡丹などの花の根元に名も知れないような野の草花が丹念に描き込まれています。いわゆる下草としてこんな風に野の花をモティーフとする友禅作家を知りませんでした。当時、染の作家達が数多く集まる新宿区中落合に住む鈴木麗雅さんです。<SPAN style='font-family:"ＭＳＰ明朝";mso-ascii-font-family: Century;mso-hansi-font-family:Century'><BR> 鈴木さんは、最後といわれた年の集団就職で、山形県の月山の麓から上京してきました。<BR> 当時東京友禅の世界でも評価の高かった鈴木さんに、こんな野の草花だけで友禅模様を作ってもらえないかとお願いしました。打ち合わせの中で彼は、それぞれの短い季節に咲く野の花や草の名はもちろん、その特徴を驚く程つぶさに話してくれたことは今でも忘れません。染め上がった作品は、慎ましやかで想像した通りの出来でした。<BR> </SPAN></SPAN></FONT></TD> <TD valign="top" align="center" width="234"> <IMG src="suzukisennsei1.jpg" width="224" height="224" border="0"></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> </CENTER> <CENTER> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD> <FONT size="2" face="ＭＳＰ明朝"><SPAN style="line-height : 5mm;"><SPAN style='font-family:"ＭＳＰ明朝";mso-ascii-font-family: Century;mso-hansi-font-family:Century'><FONT size="2" face="ＭＳＰ明朝"><SPAN style="line-height : 5mm;"><SPAN style='font-family:"ＭＳＰ明朝";mso-ascii-font-family: Century;mso-hansi-font-family:Century'>この鈴木さんとの出会いと創作が、にしおのオリジナル制作の端緒となったものです</SPAN></SPAN></FONT>。<BR> やがて彼は、バブル期に中落合の家を追われる様にして、仙台の田舎に移り住みます。友禅染の仕事は、数々の工程を経て出来上がります。地染や蒸し、水元など外注しなければならない事が数多くあります。そんな環境にない仙台の地で、彼は友禅の仕事から離れざるを得なくなってしまいます。私どもでも残念な思いをいたしました。優れた模様師である彼の感性と技術力を生かせるものはないかを考え、10年ほど前から素描きの作品を手がけていただいています。<BR> <SPAN style="line-height : 5mm;">墨や染料、顔料を使い外注の工程が必要ない作品作りです。<SPAN lang="EN-US" style='mso-fareast-font-family:"ＭＳＰ明朝"'></SPAN>秋野の花、春の桜や草花など糊糸目友禅の仕事よりもさらに伸びやかに鈴木麗雅の世界が表現されているようです。<SPAN style='font-family:"ＭＳＰ明朝";mso-ascii-font-family: Century;mso-hansi-font-family:Century'>こんな素描友禅のような仕事をする、模様師を知りません。かつては日本画家のアルバイト的な仕事としてありましたが、現在着物や帯に描く画家もいないようです。<BR> </SPAN></SPAN></SPAN></SPAN></FONT></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> </CENTER> <CENTER> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD width="301"><IMG src="suzukisennsei2.jpg" width="296" height="197" border="0"> </TD> <TD width="364" valign="top" align="left"><FONT size="2" face="ＭＳＰ明朝"><SPAN style="line-height : 5mm;"><SPAN style='font-family:"ＭＳＰ明朝";mso-ascii-font-family: Century;mso-hansi-font-family:Century'></SPAN><SPAN lang="EN-US" style='mso-fareast-font-family:"ＭＳＰ明朝"'></SPAN><SPAN style='font-family:"ＭＳＰ明朝";mso-ascii-font-family: Century;mso-hansi-font-family:Century'>山に入り季節の草花を観察し、素描し、下絵に写す、やがて帯や着物に構成され作品となる。以前にも増して自由に表現された野の草花の作品から、喧騒の東京を離れ、自然の中で自らの技術を最大限に生かせる幸せが伝わってきます。<BR> <BR> <BR> <BR> <A href="tokinokimono.html">鈴木麗雅作　名古屋帯</A></SPAN></SPAN></FONT></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> </CENTER> <CENTER></CENTER> <CENTER><BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> </CENTER> <CENTER> <TABLE border="0" width="700"> <TBODY> <TR> <TD><IMG src="b.jpg" width="19" height="28" border="0">　<SUP><B><FONT color="#000000" size="4" face="ＭＳＰ明朝">「葛の布、御光の布」</FONT></B></SUP>　　<FONT size="1.5" face="ＭＳＰ明朝">(第53号より)</FONT></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> </CENTER> <CENTER> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD valign="top" align="left" width="368"><FONT color="#000000" size="2" face="ＭＳＰ明朝" style="line-height : 5mm;">「葛の布　御光の布」民芸運動の祖、柳宗悦の言葉です。<BR> 又、著書「手仕事の日本」の中でも絹になく、麻になく、木綿にも又ない味わいがあります。その光沢は葛布のみが持つ特権といえましょう。」とこの布を称えています。<BR> 柳宗悦がここで紹介しているのは、静岡県掛川の葛布、現在でもこの土地でわずかに作られています。<BR> 葛布は、私達が知る河原などにつるを伸ばす葛。その葛の根に近い部分から発育した「這い蔓」を窯で煮、川の流れに漬け、引き上げて発酵させます。それを再び川で水洗いし、蔓の芯の部分を抜き、その皮を巻き葛苧と呼ばれるものにします。再び川で洗い、乾燥し糸とします。苧績みです。苧を口にくわえ、なめるようにして湿らせて績んでいきます。<BR> </FONT></TD> <TD valign="top" align="left" width="297"><IMG src="kuzu1.jpg" width="295" height="221" border="0"></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> </CENTER> <CENTER> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD width="296"><IMG src="kuzu3.jpg" width="295" height="221" border="0" align="top"></TD> <TD width="369" valign="top" align="left"><FONT color="#000000" size="2" face="ＭＳＰ明朝" style="line-height : 5mm;">私達の祖先は、あらゆる草木の布を身に付けてきたことが想像できますが、葛布もその一つであったのでしょう。原始布でもある葛布は、なんと古墳時代にはすでに使われていたといいます。それが掛川の名産として世に知られるようになったのは江戸時代、東海道の宿場町という地の利もあり、葛布の名声は全国にとどろきました。<BR> 葛布は、独特の光沢から直垂や上下、袴をはじめ、その撥水性から雨衣としてまでも用いられました。<BR> 柳宗悦はこの葛布を好み、織物として研究し復原する事を甥の柳悦博に託します。あの白州正子も柳悦博の葛布の帯を何本も愛用したそうです。今では、私共とお付き合いのある柳悦博の長男、柳崇によってその仕事が継承されています。</FONT><BR> </TD> </TR> </TBODY> </TABLE> </CENTER> <CENTER> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD width="368" valign="top" align="left"><FONT color="#000000" size="2" face="ＭＳＰ明朝" style="line-height : 5mm;">掛川の葛苧を分けてもらい、細かく裂き、帯にします。葛は細かく裂けば裂くほど、織物になった時光沢が出るのだそうです。<BR> 「葛の苧績みは手間がかかるけれども、以外と楽しい作業なんです。それでも、毎年帯四本分くらいの糸を作るのがせいぜいです。」<BR> 風が通る布目の底から、きらりと光る葛の夏帯は、先人達のおしゃれ心を満足させたに違いない織物に仕上がっています。<BR> <BR> <BR> <A href="humizuki.html">柳崇作　葛布九寸名古屋帯</A></FONT></TD> <TD width="297" valign="top" align="left"><IMG src="kuzu2.jpg" width="295" height="221" border="0"></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> </CENTER> <CENTER></CENTER> <CENTER><BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> </CENTER> <CENTER> <TABLE border="0" width="700"> <TBODY> <TR> <TD><IMG src="b.jpg" width="19" height="28" border="0">　<SUP><B><FONT color="#000000" size="4" face="ＭＳＰ明朝">座繰糸　― 赤城山の糸 ―</FONT></B></SUP>　　<FONT size="1.5" face="ＭＳＰ明朝">(第16・28号より)</FONT></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> </CENTER> <CENTER> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD style="line-height : 5mm;"><FONT color="#000000" size="2" face="ＭＳＰ明朝">“節糸・黒糸・おばやん糸・赤城の糸”こんな名前で呼ばれる糸があることをご存知ですか。<BR> それは江戸時代から行われてきた繰糸方法で、大小の木製の歯車を組み合わせた上州座繰り器でとる糸の事です。ここ前橋にもかつてはそこそこに座繰り製糸の工場があり、座繰り糸が作られていました。<BR> しかし現在では、前橋市富士見町、渋川市赤城町一帯のおばあちゃんの手によって引かれるのみとなってしまいました。<BR> 明治以降の製糸技術の発達によって、ほとんどが機械化され衰退の一途をたどった座繰りですが、何故この土地にだけ生き残ったのかを考えると、奇跡的なことの様にも思えます。<BR> この糸の特徴は、まずその軽さです。それは1分間に40回転～60回転で小粋に巻き取られるゆっくりとしたスピードから生まれるものです。機械では、200～300回転もします。手によってゆるやかに引かれる為に、絹本来の持つしぼが糸に残ります。繭の表面に見られるしぼは、機械で引かれると伸び切ってしまい、針金の様な糸になってしまいます。<BR> <FONT style="line-height : 5mm;">もう一つの特性として、引く人によって糸の表情が、みな違うという事にあります。引く人の顔がそれぞれ違うように、特徴を持った糸が生まれろのです。さらに糸は、使い手の要望によっても引き分ける事が可能なのです。指先の本のわずかな感触で糸の表情が生まれます</FONT>。<BR> </FONT></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> </CENTER> <CENTER> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD width="428" valign="top" align="left"><FONT color="#000000" size="2" face="ＭＳＰ明朝" style="line-height : 5mm;">そんな座繰り製糸の名人関口房子さんをご紹介しましょう。<BR> 80歳をすぎた房子さんは、80℃の湯の中で繭を煮、もろこしぼうきという自ら栽培した小さな草ぼうきで糸口を導き、糸を引きます。左手で座繰り器をあやつり小粋に巻き取ります。ゆっくりとしたスピードで引かれた糸は、蚕が糸をはいた時のウェーブを保った状態となります。右手でたくみのもろこしぼうきで繭をかく拌し、ゆるやかな縒をかけながら引かれた糸は節をともないながら絹本来の持ち味が生かされたものとなります。日がな一日、座繰り器の前に座っていても小粋2つがせいぜい。原始的な器具と一体になってひたすら糸繰りをする姿から、手仕事のみが伝える安らぎと喜びを感じます。<BR> </FONT> </TD> <TD align="center" width="237" valign="top"><IMG src="zaguri.jpg" width="236" height="164" border="0"><BR> <FONT color="#000000" size="2" face="ＭＳＰ明朝">天蚕糸を引く関口房子さん</FONT></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> </CENTER> <CENTER></CENTER> <CENTER><BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> <BR> </CENTER> <CENTER> <TABLE border="0"> <TBODY> <TR> <TD valign="middle" width="701" height="30" nowrap><IMG src="b.jpg" width="19" height="28" border="0">　<B><SUP><FONT color="#000000" size="4" face="ＭＳＰ明朝">藍を建てる　　芝崎重一・圭一</FONT></SUP></B>　<FONT size="1.5" face="ＭＳＰ明朝">(第60号より)</FONT></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> </CENTER> <DIV align="center"> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD width="500" style="line-height : 5mm;" valign="top" align="left"><FONT color="#000000" size="2" face="ＭＳＰ明朝"><RUBY><RB style="line-height : 5mm;">甕覗</RB></RUBY>き(かめのぞき)といわれるごく薄い色から水色・浅葱・千草・<RUBY><RB>縹(はなだ)</RB></RUBY>・紺・<RUBY><RB>褐色</RB><RP>(かちいろ)</RP></RUBY>・藍の色名は実に多くあります。それは藍の色が古くから私たちのくらしの中に根づき、親しまれてきたからなのでしょう。<BR> それらの色は、布や糸が藍甕の中をくぐる回数によって生まれます。<BR> 藍は建てるといいます。立てる・立ち上がらせるという表現どおりの工程の中から藍の色は生まれるのです。藍甕に、徳島の藍師が時間をかけて藍草を発行させたすくもを、まず入れます。昔ながらの<RUBY><RB>莚</RB></RUBY>(むしろ)に梱包された堆肥のようなすくもからは、野の草の匂いがします。</FONT></TD> <TD valign="top" align="right"><IMG src="ai1.jpg" width="171" height="118" border="0"></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD><IMG src="ai2.jpg" width="169" height="118" border="0"></TD> <TD style="line-height : 5mm;" width="500" valign="top" align="left"> <FONT color="#000000" size="2" face="ＭＳＰ明朝">芝崎さんの藍は、古来の灰汁発酵建て、灰汁、石灰、ふすま、酒などを加えて発酵を待つ方法です。発酵には微生物がその役割をはたします。芝崎さんの染場に住み付いた微生物が発酵をうながすのです。毎日攪拌(かくはん)をくり返し、3日ほどすると発酵が始まります。ぷくぷくと紫がかった色の泡が表面に生まれます。藍の華です。この藍の華を見れば、元気な藍か、そうでないかがわかるといいます。<BR> 芝崎圭一さんは、木綿の白糸を藍甕にゆっくりと浸し、引き上げ、さらに残りの白い部分をとっぷりと沈めます。引き上げた糸は、緑色に染まっています。藍甕の口に渡した踏み竹に足を</FONT></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> </DIV> <DIV align="center"> <TABLE border="0" width="675"> <TBODY> <TR> <TD width="500" style="line-height : 5mm;" valign="top" align="left"><FONT color="#000000" size="2" face="ＭＳＰ明朝">かけ、糸を絞ります。戻した糸は、見る見る間に緑から藍色に変化します。糸に食いついた藍が空気に触れ酸化し、発色するのです。紺色に染めるには10回位この作業をくり返します。<BR> 藍染といってもインディコピア(人工藍)などを加えたものが圧倒的に多い中で、古来の灰汁発酵建てを貫く芝崎重一・圭一親子、木綿はもちろん、座繰り糸を染めて、今最も美しい藍の色を引き出す作り手ではないかと思います。</FONT><BR> <FONT color="#000000" size="2" face="ＭＳＰ明朝">「藍も自然からもらった色、それは昔から良しとされた方法でしか生まれない。」と言います。浄らかな藍と生地の白から、多様な表現の布が生まれます。</FONT> </TD> <TD><IMG src="ai3.jpg" width="168" height="118" border="0"></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> </DIV><script type="text/javascript"> </script><script type="text/javascript" src="http://tracker.kantan-access.com/js/ja.js"></script><noscript><img width="1" height="1" alt="" src="http://tracker.kantan-access.com/jana_tracker/track4ns.gif?sid=29762&t=%91n%8D%EC%82%AB%82%E0%82%CC%82%C9%82%B5%82%A8%2C%82%AB%82%E0%82%CC%8E%A9%8D%DD&p=%2Fkimonojizai2.html&cs=Shift_JIS"></noscript></BODY>